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    殿と黒装束9 殿と友達編

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      「冷静になってよく考えろ、見え過ぎよりチラリズムだろう」

      彼、末間はいたって真面目に俺にそう語った。講義中の最前列で。

      「いや、オマエが落ち着け。」

      俺がそう返すと末間は「ふっ」っと鼻で笑う。

      「ふ。俺はいつでも冷静に落ち着いて間違った行動をとっている」

      困った子だ。

      広い教室内は教授が生徒を気にせず講義を進める人なだけあって、どこもかしこもざわついている。それにしても末間とは逆サイドの人がぽそりと

      「チラリズム・・・?」と呟いたのは精一杯聞かないフリをする。

      「わかるでゴザルよ末間殿!拙者もモザイクの向こうに浪漫を感じるタイプでゴザル、ドキュン☆警察24時」

      いきなり湧いてデターーーーーーーーーーーーーー!!!!

      隣の人を見ないフリをして視線を末間に戻すと、俺と末間の間に忍者気取りがちっちゃく体育座りしていた。

      思わず全力でツッコムところだった。危ない危ない。

      「どこから湧いて出た」

      素朴な疑問を投げかけると忍者気取りは小さく小首をかしげる。

      「どこって殿のリュックに潜んでいたに決まっているでゴザルよ?人をゴキブリみたいに言わないで欲しいでゴザル!」

      物理的にありえないっ!?

      どう考えてもリュックの大きさを上回る忍者気取り。いったいどう収納されていたというのか。考えるとおもしろい。

      「わかるくちだね。忍者君。ご褒美にアメをあげよう」

      と、どこからか取り出したチュッパチャップスを渡す。いつも黒装束で忍者と名乗っている駄目な人だが28歳。この扱いはどうなのかと・・・

      「ウワーイ!きゃんでぃでゴザル!末間殿大好きでゴザル☆」

      喜んだーーーー

      「チラリズムがアリということはギャップにもグッとくるのではないでゴザルか?」

      「おお、いいね忍者君。ロリ顔でセクシー!」

      「いいでゴザルね!おばはんなのにゴスロリ!」
      「それはちょっと・・・飴。ボッシュート。たらったらったーんどーん。」

      「ああ!拙者のきゃんでぃが!に、忍法見せるから返して欲しいでゴザル!」

      あめ玉ひとつにどれだけ必死だ。この大人は。

      「おお!じゃあ、その忍術が面白かったら飴たらふくあげよう」

      「ふふふ、おもしろいなんてもんじゃないでゴザルよ。いくでゴザル!忍法、隠れ身のフリ!」

      そういうと懐から取り出したアメリカ国旗でその身を包む。

      「どうでゴザルか!?」

      ・・・・・・・蹴ろう。

      「嗚呼、痛いでゴザル!さすが殿。でもこれからが本番でゴザルよ。」

      まだ続きがあるのか。すでにヒーヒー受けてる末間。間違いなく飴は貰えそうなものだが。

      「この国旗の上からこの刀で刺して欲しいでゴザル、さあ、どうぞ」

      手品かよ!?

      どこからか取り出された刀を受け取り、恐る恐る刺すと
      「どうでゴザル!?」と目をキラキラさせる忍者気取り。
      「もっと刺してみるでゴザル!」と末間と俺に交互に渡し刺させる、原理はわからんがコレはコレで忍術どころでなく凄いかも・・・

      「さあ、どうでゴザル、忍法手品まがい!」

      「凄い凄い!忍者君凄いよ!」

      末間大喜び、俺も思わず控えめとはいえ拍手をする。

      「ふふ、忍者気取りは常に枠になど収まらないでゴザルよ。それでは救急車を呼んで欲しいでゴザル」






      手品でもないのかっっっ!!!!!





      荒い息で救急車で運ばれた翌日、彼の病室には山積みのキャンディーが送られていた。。。


      続く。

      天寺英太郎 * 殿と黒装束 * 15:37 * comments(0) * trackbacks(0) * - -

      殿と黒装束10 ゴザル危うしの編

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        「いやぁ、夏と言ったらコレに尽きるでゴザルなぁ」

        あいも変わらず変な語尾を付けながら、ウチで飼っている年中黒装束の男。通称忍者気取りは醤油をかけてシャクシャクと幸せそうにかき氷を食っている・・・

        「なあ、忍者気取り。ソレはどこの故郷の風習なんだ」

        「拙者オリジナルでゴザルよ!晩御飯ゆえ、甘いのはオカシイでゴザロう?」

        「かき氷に醤油をかけることにオカシイという観点はないのか」

        「・・・・は!・・・・あ、でも、アレでゴザル。発明とはいつも最初は認められないモノでゴザルよ」

        めげない子だ。

        「それで美味いのか」

        「醤油の味しかしないでゴザル!」

        かき氷も食っていないのになんで頭が痛いんだろう。

        「・・・・そうか、ところで俺は思ったことがあるのだが」

        「なんでゴザル?」

        「そのゴザルという語尾はいつになったら取れるんだ」

        「何か不都合でゴザルか?」

        「不都合といえばお前がこの世に存在していることが不都合なのだが」
        「ヒドイでゴザル、でもそんな殿が、拙者は、、」

        「夏場にあまりゴザルゴザルという余計な語尾が続くのもなんとなく暑苦しい気がするんだ」

        「せめてボケぐらいは最後まで言わせて欲しいでゴザル。ともすれど言われてみればそんな気もするでゴザルな。では新しい語尾を考えるでゴザル。」

        意外にも前向きに取り込む様子。

        「語尾にはどんな意味とかあるのか」

        「マイブームでゴザル。あと忍者っぽさを全面に押し出した表現でゴザルよ!」

        「間違ってもホンモノの忍者はゴザルとか言わんと思うぞ」

        「そんなことないでゴザル!拙者のこのバイブル(聖書)に出てくる忍者もゴザルと言っているでゴザルよ」

        「ほほう。藤子不○雄大先生の・・・って漫画かーーーーーーーー!」

        「殿のノリツッコミもキレが良くなってきたでゴザルな」
        満足そうに頷く忍者気取り、

        嬉しくない。

        「まあ、とにかく語尾だ。」

        「ニンニンとかどうでゴザルか!」

        「じゃあ、同じセリフをゴザルをニンニンに変えていってみなよ」

        「ニンニンとかどうでニンニンか!ニンニクを買ってくるでニンニンよ!わあ、めちゃくちゃ違和感でゴザル!殿頭イイでゴザル」

        「お前の頭が弱いんだと思う」

        「なるほどー!」

        いいのかソレで。

        色々考えたあげく、ゴワスはキャラに合わず、ナリはどちらかというと侍だと言い張られ、ドスコイは楽しかったが語尾じゃないとつっぱりならぬつっぱねられ、良い線に行ったニャンは可愛い系で婦女子をメロメロに出来るかっ となったが28歳には痛々しいにもほどがあると冷静になり断念。
        そして結局落ち着いたのは。

        「ゴザルなんてどうでゴザルか!?」

        「イーネー」

        飽きていた。

        「ところでかき氷が溶けて薄まった氷りになっているぞ」

        「わあ!確かに薄まった醤油でゴザル、そんな観点なかったでゴザル、殿頭イイでゴザル!でも単位が足りないで卒業危ういでゴギャー」

        久々に派手に蹴りました。


        続くの?

        天寺英太郎 * 殿と黒装束 * 15:37 * comments(0) * trackbacks(0) * - -

        殿と黒装束8 殿のバイト編

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          蝉がウルサイぐらいに鳴き続けている。

          都会ではあまり蝉の声が聞かなくなったなどとテレビで良く聞くが、それではこの辺はまだまだ田舎なのかとシミジミ思う。

          夏場はバイトに精を出そうと、探したところあったのが小学校のプールの監視役。ともすれど採用者は二名という狭い門に半ば諦めながらも電話したところ滑り込みセーフとのことでめでたく稼げることとなった。

          そんなわけで初日、子供達が飛び交う小学校を懐かしみながらプールに向かい、もうひとりの採用されたヒトは早くも定位置の高い監視台に腰かけた女性が・・・・




          「ハァ、ハァ、ヨータソ萌エ・・・」



          荒い息でヨダレを垂らしていた・・・・



          まず監視役に監視が必要ダーーーーーーーーーっ!?

          関わってはいけない人種に関わってしまった気分でよく見てみれば知った顔、杏ちゃんだ。
          知った顔の中でも危険度Aランクっ

          さっそく辞退を申し込みに行こうと振り返った瞬間、肩に置かれた手。

          「健太さん☆」

          振りかえる前まで10うんメートル先にいたのにナゼ背後にっ!?

          「や。やあ。奇遇ですね」

          いつもは、くっついて回っている忍者気取りと勝手にやりあってくれるので傍観的な立場で楽しめたが一対一ではそうも言ってられない。困った。

          「ひょっとしてもうひとりの監視役のヒトって健太さんですか?それともロリコンですか?」

          「監視役のヒトです」

          しまった、究極の天秤にかけられて辞退の文字が出てこなかった。

          「キャー☆マジ?マジ?健太さんと秘密の逢い引き!」

          それは違う。

          「コレは運命的な出会いですね。結婚しましょう」

          「しません。」

          一方的にねじ伏せられる前にツッコンでおかないと止まらない恐怖に駆られ必死の抵抗を試みる俺にそれでも止まらない杏ちゃんという構図が続くなか、ひときわ甲高い声がプールに響いた。

          なんだ!?

          驚いてプールに視線を走らせれば、ちょうどプール中央のへんで溺れている子供がひとり、大変だ!周りの子供達は驚いてそちらを見るも動けずにいる。こんなときこそ監視役の仕事である。上着を脱ごうとしたその時、ガシッと杏ちゃんに腕を捕まれる。な・・・

          「こんなところじゃ恥ずかしい・・・」



          なにがだーーーーーーーーっっっっっ!



          「というのは冗談で、ここは私が行きます!(飛び込んで助けたならばヨータソのハートは私のモノ、ハァハァ)」

          何か邪悪めいた空気を感じながらもプールサイドにかけよる杏ちゃん。飛び込もうかとしたその時、彼女の動きが止まった・・・なんだ?

          「大変!健太さん。私、泳げない!」



          「何しにきたーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」



          思わずツッコンだところふんぞり返る杏ちゃん。

          「ふ、とはいえど愛しのヨータソのピンチに水ごときをビビッている場合じゃない!いいわ、帰国子女特有の思い切りの良さを見せつけてあげる!」

          「帰国子女なの!?」

          ふっ、っと鼻にかけた笑いをし、顔にかかった前髪を跳ね上げた。

          「県から出たこともない!」

          純正地元っこだーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!

          そんなこんなをしているうちにもピョンピョンと必死にプール中央で浮き沈みする杏ちゃんの言うところのヨータソ。こうなればやっぱり俺がっ

          「待つでゴザル!」

          いつの間にかさっきまで杏ちゃんが座っていた監視台の上で仁王立ちする忍者気取りの姿がっ

          「天が呼ぶ地が呼ぶ。基本的には水はお呼びでないが忍者気取り見参でゴザル。殿!ここは拙者に任せるでゴザルよ!」

          こんなところでまで俺を殿呼ばわりする恥ずかしい男、忍者気取り。とにかくまかせろというのだからまかせてみようか・・・?

          「わかった、いそいでくれ!」

          「承知したでゴザル!忍法すいとんの術気味!!とう!」

          監視台から高くプールに向かって飛び込む忍者気取り。思いがけない綺麗なフォームでプールに・・・









          ゴキュ








          届かなかったーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!


          なんとも形容しがたい鈍い潰れた様な音を出してプールサイドに崩れ落ちる忍者気取り。それを見て「負けたわ・・・」と呟きうなだれる杏ちゃん。

          いったい・・・何が・・・・


          気が付けばヨータソは自力でプールサイドにたどりついていたのであった・・・・



          続こう。

          天寺英太郎 * 殿と黒装束 * 15:36 * comments(0) * trackbacks(0) * - -

          殿と黒装束6 恋愛乙女編

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            前回のあらすじ。

            マッスル伯爵に連れ去られた殿を救うため、部屋の隅で体育座り級の引き籠もりから立ち上がった忍者気取り。
            しかしあまりの人見知りの激しさにマックではスマイルしか頼めない罠。そこに忍び寄る七人の刺客。第一の刺客はなんと彼の生き別れのセクシーお兄ちゃんだった。

            「そ、そんな!網タイツなんて卑怯でゴザル!」

            どうする忍者気取り!殿の貞操やいかに!



            そんな展開は前回ありません。

            本編↓

            「先輩!杏からの、心を込めたファンレター見て貰えましたか!」

            校舎内廊下の曲がり角、出会い頭で忍者気取りとヘッドバットを交わすも、まるで今そこで普通に出会ったかのごとく素敵な笑顔で先輩でも何でもない忍者気取りに、そんな先輩と後輩のときめきラブストーリーなシチュエーションを演じる杏ちゃん。強い。

            ちなみに当の忍者気取りは若干顔の位置がズレて鼻に直撃したのかさっきから床に転がりながら悶えている。相変わらず、すれ違いなふたりは見ていて微笑ましい。

            「ああ!えと餅の人でゴザル!」

            やっとのことで顔をあげた気取りは数歩後ずさる。

            「ふふふ、いかにも私は餅の国から舞い降りた女王!餅に変わってお仕置きよ!」

            アイタタタター

            潤んだ瞳でこちらに助けを求める忍者気取り。しかし、おもしろいからという理由だけで飼っている飼い主としては助け船を出すわけにはいかない。さあ、楽しませろ。

            「待つでゴザル、だいたいアレのドコがファンレターだったでゴザルか!?」

            「ふ、甘いわね気取りさん。複雑な乙女心を文字だけで伝えようなんて出来るはずもなくむなしいだけ」

            「じゃあ最初からやらなければいいでゴザル」

            「けれど!ただ、この熱い気持ちだけを言葉に載せて書き付けたなら貴方の胸に残るでしょ?ねえ響くでしょ!?バーーニーーーーング!」

            「殿ー!この人何言ってるかわかんないでゴザル!怖いでゴザル!」

            「ガンバレー」

            「ウワー!やる気ネーでゴザル!超暖かい目で見守るモードでゴザル!」

            当然である。

            「しからば、拙者も忍者を気取る身、あまり女性相手に使いたくはなかったが、忍術で乗り越えて見せるでゴザル!いくでゴザルよ・・・忍法!社交辞令で惚れたフリ!」

            ただの最低男デス。

            「酷い、気取りさん!私を弄んでいたのね、最初から健太(殿)さん目当てだからどうでもいいけど。」

            あんまりな返しだ・・・って俺に矛先向いたっ!?

            「なんでゴザルと!?殿は拙者のモノでゴザル!」

            それも違う。

            「なら・・・健太(殿)さんを賭けて勝負ね!」

            「望むところでゴザル!伊達に男のヒモをやってないでゴザルよ!!」

            いや、賭けられてもどっちにもなびけない俺はどうしたらいいんだろうか。
            そして、気取りと杏ちゃんの背後に燃え上がる虎と龍ならぬ手長猿とマントヒヒに見えるのは目の錯覚であろうか。もちろん手長猿が気取りである。

            「勝負は一撃!いくわよ!普通にグーーーー!!!!」

            「しょせんはおなご、可愛いモノでゴザルな。忍法奥義!天誅さ・・へぶっ」

            技出す前に殴られたーーーーーーーーっ!

            しかし、勝ったハズの杏ちゃんの表情は浮かない。

            「く、こんなシビアな一発勝負で技名を言うことに全てを賭けるなんてさすが気取りさん、私、負けない!だって乙女だもん☆」

            言うがいなやひるがえし去っていった・・・・

            顔から床に突っ伏して、鼻血の水たまりに沈む忍者気取りを残して。

            「・・・た・・・」

            去っていく杏ちゃんを見ていると。そんな芋虫みたいなポージングのままの気取りが声を漏らす。た?助けて?

            「大した・・こと・・・なかったでゴザ・・・ル」



            よくやった。



            そのうちつづくでゴザル

            天寺英太郎 * 殿と黒装束 * 15:35 * comments(0) * trackbacks(0) * - -

            殿と黒装束7 不良に絡まれた殿編

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              「おーい、兄ちゃん。お金貸してくれよー」

              ゲームセンターでの出来事である。もちろん俺に弟などいない。

              俺はいたって平凡に生きてきた一市民である。この手の連中は激しく苦手で目も合わしたくはないが今日はトイレの出際でぶつかって囲まれてしまった。ついてないとはこういうことか・・・

              「黙ってないでさぁ、ちょっと貸してくれたらいいからさー、あとで倍にして返すってぇ」

              顔を近づける男から顔をそらすとさらにもうひとり顔を近づけてくる。

              「なにビビっちゃってるのー?別に怖いことしないってーマジでー、だからさー」

              そういって俺の胸ぐらを掴んむ。

              「お金貸してよ?」

              どうする?自分に問いかけたその時だった。

              「待つでゴザル!」

              俺を囲む男達の背後から鋭い声が響く、一斉に振り返る男達。しかし、声の主、そう黒装束のあの忍者気取りらしき人物はどこにもいない。

              「誰だ!?」

              「どこだー!?」

              周りを見回すがどこにもそれらしき人物は見あたらない。

              「殿に仕えるくの一でござる!」

              いつから女になった。

              「そして周りなんていくら見回しても見あたらないでゴザルよ!」

              「なにー?」

              「上か!?」

              俺もつられて上を仰ぐ。が、狭い天井があるだけで声の主はいない。

              「ふふふ・・・雑踏どもめ、まだわからないでゴザルか・・・」

              薄気味悪そうにあたりの様子をうかがう男達、それを蔑むかのような声。そして声は続けた。

              「そんなに探すなら教えてやるでゴザル・・・・足下でゴザルよ!」






              「・・・・・・」






              踏まれちょるーーーーーーーーーーーーーーーーーーっっっ!!!!!


              結局自分でなんとかしてピンチを乗り切りました(50m6.5秒)

              きっと続く。

              天寺英太郎 * 殿と黒装束 * 15:35 * comments(0) * trackbacks(0) * - -

              殿と忍者気取り5 ファンレター編

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                「ああ、昨日も学校、今日も学校、明日も学校かったるいでゴザルなぁ」

                「誰も一緒に学校まで来てくれと頼んでいないのだが・・・」

                かといって家にひとりでコイツを置き去りにするほど怖いこともなかなかない。

                「それにしても殿は大学生なのに何で毎日学校に行くでゴザルか?」

                「一年の時遊びすぎて単位が足りなくてだな・・・」

                言いかけたその時、えも言われぬ気配を背後に激しく感じ、咄嗟に横っ飛びをして車に跳ねられそうになる。
                が、忍者気取りのほうは・・・

                「キャーーー気取りくーーーん!かーーーわーーーいーーーいーーー!!!」

                得体の知れない何かに跳ねられていた。

                「何!?何でゴザルか!?」

                はね飛ばされて道に転がり倒れたまま忍者気取りは思いきりうろたえ、跳ね飛ばした主、見知らぬ小柄なメガネっこ、どうやらうちの学生らしき彼女を見上げた。

                それに対して彼女は「ふっ」と不敵に笑い、髪をバッと掻き上げたかと思うとビシッと忍者気取りを指差した。

                「通りすがりの覆面美少女よ!」

                覆面してないっ!

                呆然と立ちつくす。もとい、倒れ尽くす(?)忍者気取りなどお構いなしに、彼女は内ポケットに手をツッコみ、一通の可愛らしい封筒を取り出した。

                「コレ、ファンレターなんです!受け取ってクダサイ!」

                と顔を赤くして気取りの頬にグリグリ押し当てる。おかしい。

                「っていうかヨメ☆」


                さらにその上から殴ったっーーーーーーーー!


                完全にノックアウトした気取りを後目に「きゃっきゃっきゃっ」と奇怪な笑い声を残し嵐のように走り去るメガネっこ。

                その背中をふたりで目で追い視界から消え去ってからしばらくして気取りがポツリと呟いた。

                「・・・・なんだったんでゴザロう・・・・?」

                ・・・さぁ・・・

                俺は首を横に振るしかできない。

                ふと、思い出したように忍者気取りが頬に張り付いた鼻血で血染めとなった封筒の中から一枚のこれまた可愛らしい便せんを取り出した。

                『モチがよく伸びた。by杏☆』


                ・・・・・・・・


                「・・・な・・・なんでゴザロう・・・?」

                ・・・さぁ・・・

                泣きそうな顔で訴える彼に俺は首を横に振ることしか・・・出来なかった。
                ただひとつ言えることがある。それは、

                「また、痛い人が増えた・・・」

                その呟きは誰に聞かれるでもなく風にむなしく流れるのであった。

                そのうち続いたりする

                天寺英太郎 * 殿と黒装束 * 15:34 * comments(0) * trackbacks(0) * - -

                殿と黒装束4 大技編

                0

                  「殿ー!殿ー!大変でゴザル!!」
                  寝ていた俺を起こしたのはいつも通り忍者気取りだった。とはいえどこのパターンはよくあることで何度かこんな大したことでもないのに起こされていた。
                  今までの大したことでないこととして

                  1.風呂に入浴剤の大瓶をまるまるツッコンだ。

                  2.駄洒落のように干してたふとんがふっとんだ。

                  3.洗顔剤で歯を磨いた。
                  etc

                  そんなわけで聞き飽きた「大変でゴザル」に俺は不機嫌にベッドに横になったまま目も開けず「何が」と聞き返す。

                  「卵焼きを作ろうと思ったでゴザル」
                  「んー。」
                  「レンジでチンするのはやめろとこの前怒られたのでやめたでゴザル」
                  「んー。」
                  「そしたら火事になったでござる」
                  「んー。」
                  「んー。」
                  「んーーーーじゃねーよ!!!」

                  だいぶ反応が遅いのわかっているわかっているがまさか自分の家が原因でマンションを全焼させるわけにはいかない。
                  ふとんを押しのけると1Kの部屋で、まっさきに飛び込んできたキッチンはそりゃもう赤々と燃えあがっているではないか。

                  「あ!アレ!忍法!かとんの術!」

                  呆然とする俺の横で満足げに印など結んでいる忍者気取り。
                  どうしようどうしようどうしよう。とりあえず蹴ろう。

                  「痛いでゴザル!しかも蹴った先は火でゴザル!火ダルマでゴザル!忍法火だるまの術でゴザル?」

                  「うるさい、バカ死んでしまえ。」

                  「・・・殿が死ねと申すなら、拙者使える忍者の身、この腹かっ切って・・・なんて忍者じゃあるまいしするわけないでゴザルーはっはっは」

                  もう一回蹴りました。

                  その直後、けたたましい非常ベルの音とともに天井の一生縁のないであろうと思っていたスプリンクラーから水が噴き出し見る見る火を消していく。助かった・・か?

                  「ああ!大変でゴザル。せっかくのかとんの術が台無しでゴザル!殿!サラダ油をまく許可を!」

                  「もしもし、警察ですか。あのですね。怪しい男が、」

                  「ええい!火め!今すぐもみ消してくれる!もみ洗いでゴザル!」

                  「うわーー!洗剤まくなーーーー!」

                  「わーん!コレ熱いでゴザル!揉めないでゴザル!」

                  このミジンコ脳め。

                  ・・・・・・10分後

                  「消えたでゴザル!」

                  「ああ、消えたなぁ・・・・・・・・・・・・キッチンが」

                  「いやぁ、サッパリした間取りも良い物でゴザルな、ってアレ?なんでゴザルか?拙者お姫様ダッコなんてされても嬉しくないでゴザルよ、ちょっと?いや、照れるでゴザルなぁ、縁側で何をするでゴザルか?あ。殿、危ないでゴザルよ?や。殿でなくて拙者が。3階から落ちるとたいへんでゴっあーあーあーぁー....」

                  俺は窓をしめてカーテンを閉じ。しばらくこの先のことを考える。
                  大家さんに謝って、消防署も呼ぶべきなのか・・・ああ、そういえば今衝動的に落としたモノのことでお巡りさんにも・・・

                  その時だったカンカンカンカンと凄い勢いで階段を駆け上る足音がそのまま廊下を走りドアを叩き開けた。

                  「死んだらどうするでゴザルーーーー!!!!」


                  コノ頑丈さん☆


                  そのうち続いたりする。

                  天寺英太郎 * 殿と黒装束 * 15:32 * comments(0) * trackbacks(0) * - -

                  【テキスト】『殿と忍者気取り3 きっかけ編』

                  0
                    「なぁ、今夜何食べる?」

                    「おお、よくぞ聞いてくださった。拙者がはじめて使った忍法は・・」

                    「聞いてない。」

                    「聞いてほしいでゴザル!拙者が忍者を気取るきっかけになった出来事でゴザルよ!」

                    可哀想に・・・

                    「何でゴザルか?その悲しげな顔は」

                    「いや。別に。それで?」

                    「そうでござった。アレはさる小春日和な日でござった・・・拙者がハイキングにひとり出かけると春の暖かさに目を覚ましたクマに出会ったでゴザルよ」

                    「・・ほう。」

                    〜回想シーン〜

                    グオー

                    「うぉっ クマだ!?英語で言ったらベアーだっ!?」

                    グオー

                    「やばいやばい!登りのクマは早くて逃げられない!どうしようどうしようどうしよう!は、そうだ、クマに会ったらどうすれば良いか前漫画に書いてあったぞ、えーとえーと」

                    グオー

                    「あわわわわ、忍法!死んだフリ」

                    ポテッ

                    回想シーン終了

                    「それでどうなった?」

                    「殴られたでゴザル!」

                    「・・・ふーん」

                    「聞いてるでござるか?」

                    「うん」

                    「本当でござるか?」

                    「うん」

                    「何でスーパーのチラシ見てるでござるか?」

                    「うん」

                    「昔々あるところにおじいさんとおばあさんがどす☆恋青春番長」

                    「うん」

                    「ウワーン」


                    続きたい。
                    天寺英太郎 * 殿と黒装束 * 14:06 * comments(0) * trackbacks(0) * - -

                    『殿と黒装束2 殿と黒装束と留学生』

                    0

                      「シャチョサーン!」
                      1日の講義が終わりキャンパスの門を出たところで背後から大きな声が聞こえてきた。
                      彼の指すシャチョサンとは俺のことに間違いない。
                      そしてシャチョサンと俺を呼ぶ男は、うちのクラスの末間に間違った日本語ばかりを教えつけられた留学生のマイケル・シャンソン。人呼んでマイコゥである。まあマイケルでいい。
                      「マイケル、いい加減その呼び方はやめてくれないかな・・・」
                      走り寄って横に並んだマイケルにとりあえずそういうと真っ直ぐな瞳で「なんでデス?」と聞いてくる。困ったとりあえず殴りたい。
                      「いいか、別に会社とかじゃないんだから社長でもなんでもないんだし。俺は普通に学生やっているだけなんだから上下関係というのはないのでな、マイケルの他に俺のことを変な階級で呼んでるやつなんて・・・」

                      「殿ーーーーーー!」

                      蹴った。凄い蹴った。
                      全身黒装束に包まれて両手に食いかけの丸ごとバナナを握るだけにとどまらず口からはみ出る頬張った丸ごとバナナを口から周りにまき散らしながら笑顔で俺を見つけ走り寄ってきた忍者気取りをとにかく蹴った。

                      「トノ?ナンデスカ?」
                      「気にするな。正しくない日本語だ。」
                      「日本語。難シイデス。日本オカシイ。ハラキリ、サムライ、ヤマトダマシイ」
                      お前がオカシイ。とにかく、蹴り倒した忍者気取りは置き去りに家へ向かうと横を歩いているマイケルがピタッと止まった。
                      「どうしたマイケル。」
                      そう尋ねると真っ直ぐな瞳で川を指しマイケルは呟いた。
                      「アレモ日本ノ風習デスカ?」
                      と視線を川に向けると溺れている少年が・・・
                      「違うぞマイケル。あれは風習じゃなくて溺れているんだ」
                      「溺レル?ほわぃ?」
                      「川とか水場で泳げないで大変なことだ」
                      「OH!ナルホド。勉強にナリマシタ。コイツハ一本トッテネェHAHAHAHA」
                      「トッテネェじゃないし一本も何か違うし」
                      「トコロデ、助ケナイ、イインデスカ?」
                      「うん。助けなきゃだね」
                      ともすれど川事態の深さはそれほどでもないのに関わらず川の水のあるところまでが深い。下手に飛び降りたら足を折りかねない、なんとか打開策を考えなければ。

                      「殿ーーーーーー!!!」

                      蹴・・・ろうと思ったがとどまる。
                      予想通り、どうやら丸ごとバナナは食いきったらしい口の周りにクリームべったりな28歳が黒装束を着て後ろに立っていた。それを少年の瞳で眺めながら口の中で「サムラーイサムラーイオサムラーイ」とブツブツ言っているマイケル。そして背後で溺れて必死で今にも外れそうな岩肌に捕まっている少年。
                      どんな嫌な構図だ。

                      「まあ、ちょうど良いところにきた、見ての通り下で少年が溺れているのだが助ける手だてがないんだが、忍法でどうにかならないか?」
                      と、尋ねたところで忍法や本人には実のところ期待ゼロ。ロープの一個ぐらいは出てくるかと
                      期待したが、思いの外、忍者気取りは胸をはっていい顔で「まかせるでゴザル!」と答えた。
                      「OH!サムライ忍術」
                      それは違うぞマイケル。
                      さておき、今までない期待を胸に川を見下ろせる道に沿って歩き出す忍者気取りの後ろ姿をドキドキして見ていると、少年がまた大きな声で「タスケテー」と叫ぶ。その時、忍者気取りは目を見開き腕を手のまで合わせた。俺とマイケルが息をのんで見守る中、忍者気取りは声高らかに叫んだ。

                      「忍法!見て見ぬフリ」







                      シカトダーーーーーーーー


                      蹴り落としました。(ドロップキックで)

                      あと警察の人を呼びました。
                      めでたしめでたし。


                      続くっぽい。

                      天寺英太郎 * 殿と黒装束 * 14:05 * comments(0) * trackbacks(0) * - -

                      殿と黒装束1

                      0



                        ピンポーン ピンポーン

                        大学に入ってからひとり暮らしをはじめ、最初の一年はインターホンが鳴れば飛びついて出たモノだが。出るほとんどが新聞の勧誘やら宗教の勧誘やらNHKの受信料やらとヒドイ目ばかり合い、二年が始まる頃にはほとんど居留守をしてきたが。なんとなくその日は出る気になり

                        「はーい」とひと声出し玄関に向かった。

                        「どちらさまですか?」

                        と尋ねるがドアの向こうに返事がない。覗き穴を覗きながらもう一度「どちらさまですかー?」と尋ねたその時。

                        「忍びの者ですが。」

                        耳元でそう男が呟いた。条件反射で蹴ったのは言うまでもない。

                        「い、痛いでござる!」

                        「ゴザル!?」

                        「え。じゃあ痛いナリ」

                        「付いてりゃどうでもいいのかっ!」

                        「語尾がマイブームゆえ・・・」

                        どうでもいいがうちの玄関に黒装束の男。何だこの風景は。

                        「そんなことはいいから、あんた何者だ!?」

                        「怪しい者です」

                        「即答かよ!?どこから入ってきたんだよ」

                        「ソコ」

                        言われて指さす先を見ると玄関のワキを開けるとすぐあるトイレの窓がばっきり割れている。

                        強盗ダーーーーー

                        「金目当てで来ただろうが残念だったな。うちには金も女も地位も名誉も単位もねえぞ」

                        「駄目人間ですね」

                        いい年こいて忍者ごっこしてる人間に言われたっガクーーーン

                        「と、とにかく、ここにはお前の求めるものは何もないって何食ってるんだ!?」

                        「え。魚肉ソーセージ。食う?」

                        「俺のだっ 飯目当てかっ それやるからとっとと出てげ」

                        そういうと改めて神妙な顔つきになる忍者。

                        「実は、拙者。親に勘当されて・・・」

                        「なるほど」

                        「いや。納得が早いでゴザル。とにかく、ひとり職も金もなしに生きていかなければいけなくなったでゴザル。賃金は自分でどうにか稼ぐので、独り立ちするまで住まわせて貰えないであろうか。殿。」

                        殿!?自分で金をどうにかすと言ってるとはいえ見ず知らずの人間を泊めてやる義理はない。ともすれど改めて考えてみればわりとおもしろそうといえばおもしろそうである。

                        「じゃあ、そうだな。お前忍者なんだろう?」

                        「いかいにも忍者気取りでゴザル」

                        「気取りどまりかよ!?じゃあ忍術とかも使えないのかよっ おもしろかったら泊めてやろうと思ったのに」

                        「やや!?本当でゴザルか!?そうとなれば拙者命を賭けて忍法を使うでゴザル」

                        「その前に社会復帰に命を賭けてください」

                        「ハイ」

                        わりと素直。

                        そんなわけで忍法を見るべくアパートの外へ。

                        「いいでゴザルか一度しかやらないからよく見ているでゴザルよ?」

                        そう言って人も車もあまり通らない道路で助走を付けるように走り出す。

                        「忍法アクロバット!」

                        側転を一回転二回転からバク中で頭から落ちたーーーー
                        後頭部を押さえて声も出ないほど悶絶する忍者気取り。これはおもしろい。

                        「だ、大丈夫かっ忍者気取り」

                        笑いを堪えながら一応心配しに行くと手で制され、「待つでゴザル。今のは余興でゴザル」と必死の弁解。しかし半べそだ。
                        そうして首をコキコキと鳴らしたあともう一度、助走を付けて再び側転を一回転二・・・消えたっ!?

                        さきほどまですぐ前で側転をしていたところから突然いなくなった忍者気取り。まさか本当に忍法!?驚いて駆け寄るとなんとマンホールのフタが壊れて落ちている。当然忍者気取りも下に・・・いた。

                        「おーい大丈夫かぁー」

                        上から声をかけるとひざまずいてうなだれていた忍者気取りが慌ててこちらを見上げ視線が合う。

                        ・・・・・・・

                        「に、忍法落ちてないフリ!」





                        落ちちょるーーーーーーーーーーーー





                        こうして不信感よりおもしろさに負け忍者を飼うことになったのだった。

                        続く。

                        天寺英太郎 * 殿と黒装束 * 00:15 * comments(0) * trackbacks(0) * - -
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