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    現代劇 桃太郎改

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      ファミレス。
      次郎、猿谷、テーブルで向かい合っている。

      次「猿谷!猿谷!きーてくれよ、この前の全国模試!」

      猿「まてまて」

      次「聞けよ!なんだ、聞く前から俺の話なんて聞きたくないのか。俺の話は雑音か!英語で言うとノイズか!ちょっと捻るとノズルか。上手いねー」

      猿「わかったわかった。聞く。聞くから。その前にさ、確認したいことがあるんだけどさ」

      次「ああうん。なになに?」

      猿「あのさ、何の全国模試?」

      次「大学受験」

      猿「キミ何歳?」

      次「22歳」

      猿「名前は?」

      次「桃井次郎」

      猿「わかった、今日からお前の名前はシロウ。四浪でシロウ。」

      次「やーだ」

      猿「やでもシロウ。」

      次「やーーーだ(ジタバタしながら)」

      猿「何歳?」

      次「22チャイ」

      猿「はいはい。んで全国模試で話したいことって何」

      次「まーまー、百聞は一見にしかず。(言いながらポケットから紙を出す)」

      猿「お前が聞けっつったんだろうが」

      次「いいからー。ほら。コレ(猿谷に手渡す)」

      猿「(渡されて広げる、じっと眺めてから)…うわ!うわ!ふたつもA判定じゃん」

      次「だろ?だろ?すげーだろー?」

      猿「てか何この上腕二頭筋大学って」

      次「1日27時間体育やってる大学」

      猿「死ぬじゃん!てか1日越えてんじゃん!」

      次「細かいことなんか気にするなよ。A判定なんだから」

      猿「細かくねえよ!じゃあこっちのラーメン大学は?」

      次「近所のラーメン屋」

      猿「就職じゃん!てか全国模試で判定でんのかよ!…しっかし、肝心な普通の大学は相変わらずZ判定だなぁ」

      次「すげぇだろう」

      猿「ある意味な。もうちょっとめげろよ」

      次「そんなこと言われてもさぁ、バイトしながら予備校行ってりゃ疲れてクタクタで予備校でも寝るって。かといってバイトしなきゃ予備校行く金もねえし」

      猿「なんのバイトしてんだっけ?」

      次「引っ越しの手伝いの観察」

      猿「観察かよ!疲れねぇよ!てかそれで時給貰えるのかよ」

      次「あれ?そういえば…」

      猿「もっと前に気づけよ。あーもういい、もういい。とにかくバイト探せよ。」

      次「そー、それでさー。良いバイト見つけたんだって。(ポケットからまた紙)なんと日給4万以上!」

      猿「ホストとか?まさか人体実験とかじゃないだろうな」

      次「違う違う、コレ(紙を猿谷に見せる)」

      猿「なになに、エキサイティングでスリリングなお仕事、あなたの命預けてみませんか。(疑問符が頭の上に浮かぶような表情)遺族、悲しむ方のいない方歓迎。要生命保険。遺影撮影無料でおこないます。ってあからさまにヤバイじゃん!」

      次「いいだろう?実働三時間」

      猿「良くねえよ!ああ、そんなこと言ってる間に俺がバイトの時間になっちまったよ。んじゃ、先帰るぜ?(立ち上がりながら)」

      猿谷舞台上手へ数歩歩く。

      次「なんのバイトしてんだっけ」

      猿「大学生の特権。女子高生の家庭教師(Vサイン)」

      次「お、俺も…」

      猿「おっと、まずは大学に受かりな〜」

      次「俺も女子高生になる!」

      猿「そっちかよ!?」


      暗転









      次郎上手から登場。とぼとぼと舞台中央前へ歩く。

      次「あーは言ったモノのやっぱ普通の大学は受かりたいよなぁ。しっかしやる気がないのは自業自得にしたって何でこんなに勉強が出来ないかなぁ?」

      モ「(下手から声だけからビラ配りながら現れる)
      ご協力おねがいしまーす、おねがいしまーす、あ、そこの人生に疲れたお兄さん」

      次「初対面なのになんて失礼なビラ配りなんだ」

      モ「お願いしま…(ビラを落とす)、あ、あなたは…」

      次「え?」

      モ「桃太郎様!(両肩をがしっとつかみ)」

      次「いや、俺は桃井次郎だけど…」

      モ「(一度引いてもう一回)桃次郎様!」

      次「いや、どっちでもいいのかよ!」

      モ「(もう一回引く)ご職業は?」

      次「四浪中でフリーターだけど…」

      モ「桃四浪様!(抱きつくように)」

      次「ほっとけってかはーなーせ」

      モ「いいえ!話しませんわ桃太郎様、もとい桃シロウ様」

      次「ええいウルサイほっとけ!(桃の精を突き放す)いったいお前はなんなんだ!」

      モ「(すくっと立ち上がり客席に向かって)よくぞ聞いてくれましたわ!桃シロウ様」

      次「だから桃井次郎だっつーの」

      モ「(次郎のセリフ無視)私はおとぎの国からやってきた可愛い可愛い桃の精!桃太郎様を捜しにやってきたの!って何で目頭を押さえてるんですか?」

      次「や。なんかもう不憫で…」

      モ「あー!わかった。あなた、私が桃の精とかウソだと疑っていますね?」

      次「全然そんなことない(目をそらしながら)」

      モ「ウソでないというのなら、私の目をごらんなさい!」

      モモの精、そらした目線の前へ、次郎さらに目をそらす。モモの精さらにそちらへ。さらに目をそらしたところで、モモの精、次郎の向かいに立つ。

      モ「わかりました、そうまで言うのなら証拠をお見せしましょう」

      次「いや、何も言ってないですけど」

      モ「(再び無視。ポケットから種を取り出す)ここに桃の種があります。コレを一瞬で桃の実に変えて見せましょう」

      次「手品じゃん」

      モ「スリー・ツー・ワ…あ!女子高生のパンチラ!(次郎の背後を差しながら)」

      次郎、がっと後ろを振り向く、モモの精、バックから桃を取り出して元の位置へ。次郎振りかえる。

      次「パンチラなんかどこにも、って桃だー!すげー!」

      モ「そーでしょうそーでしょう!(大きく二・三度頷きながら)」

      次「んでその桃の精は何の用なんだ」

      モ「(落ちているビラを拾って)これですわ!桃シロウ様」

      次「鬼退治の仲間募集?」

      モ「そー!(変なポーズで)どう!?どう!?私と一緒に鬼とか退治しちゃわなーい?」

      次「(上手に体ごと向けながら冷静に即答)しちゃわない」

      モモの精ゆっくりうなだれる。

      モ「(呟くように)退治をしてくれたなら何でも…(声大きく、手を次郎に向けて)、そう、何でもひとつだけ願いを叶えてあげるから!」

      次郎振り向き片膝をついて桃の精に向き直る。

      次「何でも?」

      モ「何でも!」

      次「じゃあ鬼を倒して」

      モ「(しばらく何もない場所を眺め)あーそれは今日は売り切れなのね」

      次「マギー?は、そうだ、(ここではじめてモモの精に興味を持ったように)…じゃあ大学とか受からせられない?」

      モ「それならまかして!」

      次「(モモの精と同じポーズ、モモの精の人差し指と人差し指を当てながら)どこでも!?」

      モ「もちろん!」

      固く手を取り合うふたり。斜め上をふたりで見上げ指差しながら青春っぽい音楽。


      暗転






      舞台中央。鬼嶋。ガラ悪そうに立っている。
      上手側。電柱の影に桃と次郎。鬼嶋の様子をしばらくうかがう。

      次「…普通にそのスジの人じゃないですか!」

      モ「しー!しー!聞こえたら撃たれますよ!昔は鬼に金棒だったけど今どきの鬼は鉄砲なんだから!ああ、世知辛い」

      次「だから普通に鬼とかじゃないじゃん!」

      モ「鬼ですよ!どうみたってあんなガラが悪けりゃ鬼に決まってるじゃないですか!ほっといたって絶対何かするに決まってます!」

      鬼嶋胸ポケットをあさる仕草。

      モ「ほーら!ほーらごらんなさい!きっと中から拳銃を取り出して罪のない人々を撃つんです!」

      次「(モモの精のセリフの途中で)ちょっと待て」

      鬼嶋、良い笑顔でふところから小西人形を取り出す。

      次「どうやら腹話術人形の様だぞ」

      桃の精ややコケる。

      小「(高い声、鬼嶋。顔を小西から背けた状態)兄貴ー」

      鬼「おう、どうした小西。」

      モ「なんて無理のある展開なの!おかしい!あの人おかしい!」

      次「受け入れろ!これも現実だ!あとお前も変だ!」

      モ「いや!私おとぎの国に帰る」

      次「(冷静に)帰れ」

      モモの精うなだれる。

      小「この前鬼嶋さんが変な野郎から締め上げてとった金ですけどね」

      鬼「おう」

      次「お、話の続きがはじまったぞ」

      モ「(目を輝かせるように鬼嶋らを指差しながら)ほら!悪いヒト!ね?悪いヒト」

      小「言われたとおり募金してきましたよ」

      鬼「おう良くやった。」

      次「ええひとやなぁ(感涙しながら)」

      モ「盗った金じゃないですか!ってか何で関西弁なんですか!」

      小「しっかし、今回のカモ野郎。変な格好してやがりましたねぇ」

      鬼「おお、そうだったのぅ」

      小「今どき(モモの精の服装の特徴)なんて、(特徴に応じた悪口)」

      次郎、モモの精を凝視、モモの精、視線をそらして口笛。

      鬼「そうだのう、あんな格好で歩いているだけで生き恥だのう」

      ひざまずきうなだれるモモの精。肩に手をおく次郎。

      小「そういえばコレどうしますか?(ポケットから)」

      モ「あーアレです!アレを返して貰いたいんです!」

      次「なんだアレは」

      モ「アレは私の力の源とも言うべき宝物です。アレがあれば私の桃の力が増大し、あなたを大学に受からせることも容易い!」

      次「まじでか!?」

      モ「たぶん」

      次「どっちだ!」

      モ「とにかく、アレがなければあなたが大学合格なんて夢のまた夢っていうか無理。いつまで夢見てるのよ馬鹿!(ビンタ)」

      ビンタをされよろめく次郎、頬を抑え一度下を向いたあとモモの精を見る。

      次「わたし、わたし、ホントは怒られたかったの!」

      モ「やっと、やっとわかってくれたのね」

      次「モモの精!(両手を広げて抱き合う体勢)」

      モ「うれしい!モモシロウ!(同じ体勢)」

      次「ふざけるな(ビンタ)」

      モ「わたし、わたし、ホントは…」

      次「(モモの精のセリフ遮り)お。人形がそのスジの人に宝物とやらを渡したぞ」

      小西、鬼嶋、次郎のセリフ通りに動く。モモの精、言うことが言えず上手のハジで体育座り。

      鬼「そうだのぅ」

      モ「あの宝はおとぎの国でなくても、まったく見ることの出来ない貴重なモノだし売られて金にされるに決まっているわ」

      鬼「捨てとけ」

      小「へい」

      モ「(上手から出てきて鬼嶋につっかかりながら)待ーてーよー!」

      鬼「そんなところで何をしてやがった!(懐からピストルを取り出す)見られたからにはただでは帰せねぇ」

      モ「えーと洗濯物とかはとりこみ忘れてなかったかしら(きびすを返して上手へ戻る)」

      鬼嶋発砲。モモの精派手に倒れながら上手に入る。次郎電柱の影で凄い顔でその光景を見てるだけ。上手側から走る足音。モモの精走って上手から再登場。

      モ「死んだらどうするのよー!!」

      鬼「喜ぶ」

      モ「ですよねー・・・じゃなくて!そのブサイクな人形が持ってる」

      鬼「小西だ(銃を突きつけて)」

      モ「ブサイクな小西さんがお持ちになられている桃の宝は、この星にはない素材で出来ていて、出すところに出せば時価数十億という値がつくもの!貴方にはもったいない代物なのよ。さあ。返しなさい!」

      鬼「はははは、それを聞いて誰が返すかよ」

      次「待てー!(電柱の影にかくれたまま)」

      鬼「誰だ!」

      次「(足だけが見える位置ぐらいで)ひとーつ、人の世の生き血をすすり、ふたーつ、不埒な悪行三昧、みーっつ、醜い浮き世の鬼を、退治してくれよう、モモシロウ!」

      モ「モモシロウ様!台詞は素敵だけど!台詞は素敵だけど電柱の影から出てませんわ!」

      次「正直ここまでが限界です!」

      鬼「なんだ馬鹿が増えただけか」

      次「うるさーい(言いながら土下座)」

      モ「電柱の影に隠れて土下座しても!」

      鬼島、やれやれという感じの仕草をして上手へ退場。

      モ「待ちなさい!桃の宝を返して!待って!…」

      次「ふ。どうやら俺が恐れをなしたので逃げたようだな(土下座のまま)」

      桃の精、次郎の頭を踏む。



      暗転



      画面中央ピンスポ。次郎。机に座って。
      「あ。あれ?やってないのに試験の答えが全部わかる!すごい!(両手をあげて立ち上がる)」

      黒子上手から走って机を下手に持ち去る、下手から敷き布団、上手から掛け布団を持ってきて、舞台中央へ敷く。次郎、そこに寝る。)

      次「(ふとんを前に放り出し)ってそんな都合のいい話があるかーーっ!」

      明かり全開。正座のまま、頭から布団を被っているモモの精。

      次「何してるんだっ!」

      モ「(布団を被ったままなので大きな声で)見てわかりませんか!」

      次「わかんねぇよ!」

      モ「あなたが投げ出した布団を頭に被っているんじゃないですか」

      次「俺の布団向こうに落ちてんじゃん!」

      モ「(布団を頭からどかして)いざというときのためにあらかじめ被っておきました!」

      次「なんのいざだよ!」

      モ「どうやら功を奏したようですね(満足げに)」

      次「ああ、もうどこをツッコンでいいかわからーーーん(顔からつっぷす)」

      モ「ところでですね。モモシロウ(なにごともないように)」

      次「はいはい(普通に)」

      モ「鬼退治にあたってなんですけど」

      次「はぁ」

      モ「やっぱり鬼退治には仲間が必要だと思うんですね」

      次「はあ、俺もそう思います」

      モ「やっぱり鬼退治といえば猿、犬、雉じゃないですか」

      次「そうですねぇ」

      モ「それらを仲間にするために必要なアイテムといえば?」

      次「キビダンゴ」

      モ「そー!わかってるねー、四浪のクセに」

      次郎うなだれ。

      モ「まあまあ、落ち込まない落ち込まない。鬼さえ倒せば晴れて大学生。そんなわけで、不肖、わたくしモモの精が美味しいキビ団子をお作りいたしました、キビダンゴカモン!」

      怪しげな音楽、出来れば上手からスモーク。そして現れるキビダンゴ。(あわよくば全身タイツ)

      ダ「おはようございます、美味しいキビダンゴです」

      次郎、無言で立ち上がりキビダンゴの頭を掴んでヒザ蹴り、そのまま上手側にふたりで退場。暗転

      舞台中央のみ照明。次郎舞台中央へ。

      次「こうして。俺はそのスジの人を倒すために仲間を見つける旅に出ることになったのだった。」

      暗転






      下手側に突っ立ってる猿谷。中央に次郎。中央やや上手側にモモの精。

      次郎、自慢げに猿谷を手のひらで差したポーズからスタート。

      モ「待って待って、ちょっと待って(次郎に近づきながら)」

      次「(ポーズを解いて)え。なに。どうした?」

      モモの精、次郎の襟首を掴んで上手側へ。

      モ「(猿谷をチラっと見てから猿谷に聞こえないようなポーズで)あのさ、あのさ」

      次「うん」

      モ「私さ」

      次「うんうん」

      モ「鬼倒すから友達集められるだけ集めろって言ったよね?」

      次「うん、だから友達。(最初のポーズ)」

      モ「(次郎の肩をひっつかんで元のポーズへ)うん、友達いた。いたけどさ、ひとりじゃない?」

      次「そうやもしれないね」

      モ「いや、「やも」とかじゃなくてひとりじゃん!アンタなに?友達いないの?孤独なの?愛と勇気だけが友達なの?」

      次「(空を仰ぎながら)愛ってなんだ」

      モ「そっちもかよ!感傷に浸るとかいらないから。非モテなのは知ってるけど友達ぐらいは作ろうよ。手遅れだけど」

      次「うるさいよ!馬鹿!じゃあひとりで鬼退治しろよ!」

      モ「まあまあ、いないもんはしょうがないからコレから仲間作りの旅に出ましょうよ。とりあえず友達のお名前は?」

      猿「あ。ども猿谷です」

      モ「まあ!(猿谷を熱い視線で見て)まあ!(次郎を振り返って)お猿様」

      猿「お猿様て!」

      モ「モンキッキーのほうが良かった?」

      猿「よくねえよ!なんなんだアンタは」

      モ「よくぞ聞いてくれました!私はおとぎの国からやってきた可愛い可愛いモモの精!」

      猿「ああ、病院なら向こうに良いのがありますけど」

      モ「あ、ご親切にどうもどうもー(上手へ退場、上手から登場)って違う!」

      次「ノリ期間長っ」

      猿「だからなんなんだこの痛い人は」

      モ「うるさいわね、男ならつべこべ言わずに私についてきな!」

      猿「お、男らしい・・・」

      上手にモモの精を先頭に全員退場。猿谷、走って上手から登場、下手に退場。それを追って上手からモモの精、走って上手から登場。

      モ「ちょっと、どこいくの!(下手に退場)」

      猿「(下手から声だけ)うるさいよ馬鹿!鬼退治ってそのスジの人だとか聞いてねえよ!」

      無言で上手から下手へ疲れた顔で走って登退場する次郎。

      下手から猿谷を引きずってモモの精登場。

      モ「いいからいいから赤信号もみんなで渡れば怖くないって」

      猿「みんなでダンプに跳ねられたくねぇよー」

      そのまま退場。次郎、疲れた顔様子で下手から走って登場。舞台中央で息切れしながら客席側を向く。

      モ「(声だけ)何もたもたしてんの、遠縁の親族から独りずつ行方不明にするわよ!」

      シ「桃太郎ってこんな話しだったか!?(客席側に訴える様に)」

      上手からキビダンゴ登場。次郎の手を取って上手側を指差す。その次郎、キビダンゴの頭を掴んでヒザ打ち。キビダンゴ倒れる。次郎、そのまま上手に退場。キビダンゴ、なよっとした座り方で客席側を向く。

      ダ「嫌いじゃないかも」

      暗転




      雉村、舞台下手側でアルトリコーダーを吹いている。その横で椅子に座って本を売っている。

      上手から次郎、モモの精、猿谷、チラシを抱えて登場。次郎下がり目でチラシ配り。

      猿「だからこんなチラシで誰が一緒にヤの字退治に行こうなんて思うんだよ」

      モ「正義の心があればきっと立ち上がってくれるハズです!」

      猿「話し聞いたら半分被害妄想じゃねぇかよ!」

      モ「どこが被害妄想なものですか!いつでも私は夢見がちなだけです!」

      猿「死ねばいいのに」

      雉村のリコーダークライマックス。というか音がでかければ何でも良い。

      猿「ってうるさいよ!あんた何してんだよ!」

      雉「怒られた、死のう。」

      猿「うわー!悪かった悪かった!悪かったから何してるんですか」

      雉「見ればわかるじゃないですか」

      猿谷、じっと雉村を凝視。この区間ぐらいに次郎上手に退場。

      猿「うわぁ、全っ然わかんねぇ」

      雉「ヒント、最初に『ろ』がついて、最後に『ぶ』がつくもの」

      モ「あ、わかったロブスター!」

      猿「最後についてねぇよ!」

      雉「参りました」

      猿「何にだよ!」

      雉「そんなわけで私達は路上ライブをやってます」

      猿「リコーダーで?」

      雉「失礼な!アルトリコーダーです!」

      猿「怒りどころなのかよ!?種類の問題じゃないし、それでこっちの人(犬山を見ながら)は何をしてるですか」

      犬「はい、歌詞カードを配ってます、ありがとーございまーす(本をモモの精に一冊渡しながら)」

      猿「あーこれはどうもどうも、って歌ってないじゃん!てか笛吹きながら歌えるかよ」

      雉「歌えますよ。(アルトリコーダーをくわえたまんま歌う)」

      猿「歌えてねー!」

      モ「待って!コレを見てください!(歌詞カードを見せながら)」

      猿「え、どうしたの?」

      モ「歌兼リコーダー、雉村。歌詞、犬山。キジとイヌですよ!お雉様!お犬様!」

      雉「どこかの憐れみの令のよう」

      モ「お礼といってはなんですがこちらをどうぞ(ふたりにチラシを配る)」

      雉「ほう、鬼退治」

      犬「わあ、なんだか、ミステリアスでファンタスティックで、(立ち上がりながらひと言ひと言にアクション)愛と青春のラブロマンスファンタジーな感じでイイデスね!今なら空も飛べそうです!」

      猿「うわああ!もうツッコミが足りない!そうだ雉村さんなら」

      雉「(猿谷の背後を見ながら)ああ、ご先祖様でしたか。いえいえ。そんな綺麗だなんて。お上手ですわ」

      猿谷、自分の背後を振り返る。

      猿「誰と話ししてるんだ!」

      犬「雉村さんは霊感が強いので色んなモノが見えるんです」

      雉「(下手側を見ながら)あーどうもどうも。この前はお世話になりまして。もうすっかり良くなりました、はあ、どうも」

      犬「何をお世話されたんだよ!」

      次「(上手からウェディングドレス(がベストだがありえない格好で)どうしたどうした?」

      猿「お前はお前で何があったんだーーーー!」

      次郎、モモの精、雉村、犬山、口々に「いぇー」みたいなことを言いながらハイタッチ。猿山倒れる。

      猿「タスケテー・・・」



      暗転





      雉村、犬山、上手から早足下手側に向けて歩きながら登場。モモの精ダッシュで追いかける。

      モ「ちょっとちょっと、どこいくの!なんで帰るの!」

      雉「いや、僕たちちょっと風邪を引く予定が」

      モ「バイトサボる理由かよ!」

      犬「僕塾が…」

      モ「なんのだよ!」

      下手から次郎、猿谷登場。

      次「まあまあ、そう無理強いしてはいけないよモモの精」

      モ「でも、せっかく猿、雉、犬ってそろったのに…」

      次「馬鹿だな、モモの精。大切なことを忘れているよ」

      モ「大切な…こと?」

      次「そう、人は人の意志では動かない。自分の意志で動くもの。ひとそれぞれの権利を無視してはいけない」

      猿「(一瞬悩んでから)頭でも打ったか?」

      次「何を言う。俺はいたって正常。今日もいつも通り元気に母親に人見知りしてきた」

      猿「人見知り期間長いな、しかし」

      次「まあ、それは置いといて、大切なことというのはそんなことではないんだ」

      モ「じゃあ、何が足りないって言うのよ」

      次「思い出してごらん、モモの精。桃太郎がどうやって仲間を作っていったか」

      モ「(しばらく考えて)…ああ!」

      次「そう」

      モ・次「きびだんご!」

      雉・犬「きびだんご?」

      猿「なんだよ、俺もソレもらってないよ」

      次「なんだ猿谷も欲しいのか。キビダンゴ」

      猿「うん。ちょっと好きだけど。」

      犬「私も好きー(バンザイのポーズ)」

      雉「私も好きー(犬山を真似て、そのあと照れる)」

      猿「照れるなら真似すんなよ!がんばれよ!」

      雉「私だって戦いたいときはあるのよ」

      猿「無闇に戦うなよ。(次郎のほうに顔を向けて)あれ、そういえば腰にさげてないじゃん。キビダンゴ」

      次「さがるかよ。あんなもん。」

      猿「んなこといったって、桃太郎っていったらおっこしーにつっけたーキビダンゴーだろ?」

      猿谷のセリフ。中、上手からキビダンゴ登場。歌っている猿谷の肩を照れながらたたく。

      猿「うぉわ!?なんだコレ!?」

      モモの精、次郎。キビダンゴをセンターに両側につく。

      モ「えーそれではーご紹介いたしましょう。(ぺこっと次郎を見ておじぎ)」

      次「(おじぎを受け。おじぎを仕返して)キビダンゴさんでーす」

      モモの精、次郎。口々に「わー」といいながら拍手。キビダンゴ。次郎と、モモの精を交互に見ながら拍手。

      雉村、一歩前に。

      雉「素敵!」

      一同雉村に注目。

      雉「そのツヤ、サイズ、趣味の悪さ。間違いない!私の王子様!(大きなふりつきで)」

      犬「もしもし雉村さん?」

      雉「(犬山の手を両手で握り)ありがとう、犬山。私たちを祝福してくれるのね」

      次「どんな都合の良い解釈だ!?」

      犬「おめでとう、雉村さん。私は身を引くわ。幸せになってね(泣き)」

      次「泣くほど祝福するのかよ」

      雉「さあ、行きましょう。(キビダンゴの手を引いて)私たちの未来へ(どっか遠くを指差す)」

      次「どこ差してんの!?」

      モ「わかってくれたのね、雉村さん。さあ行きましょう!鬼退治へ」

      雉「ありがとう、私この人と幸せになります」

      猿「まったく話がかみあっていない!」

      次「なんて言葉のキャッチボールのいらない人達なんだ!」

      照明ダウン、次郎にピンスポ。次郎舞台側へ

      次「キビダンゴによって友情が築かれた俺たちは、とうとう鬼退治に向かうこととなった。」

      次郎、ピンスポから離れて照明アップ。

      各自点々と勝手なことをしている。

      モ「しかし、なんなのこの覇気のなさは!いまいち指揮が高まらないわね。」

      猿「死期自体は一刻と近づいているんだけどね」

      モ「死ぬなーー!よし、じゃあ鬼を倒した人に特典をつけようじゃないの」

      興味を示す一同。「おお!」などの声

      モ「鬼を倒した人にはもれなくモモの精からあつぅーいキッスをプレゼンツ☆キャ☆」

      全員意気消沈。

      モ「ノれよ!盛り上がれよ!」


      (ここでショートコント風のをいくつかしようと思う)

      暗転






      ピンスポ、モモの精と鬼嶋だけを照らす。鬼嶋下手側を向き、その背後にモモの精が立っている形。

      鬼「またお前か。こりねぇ野郎だな(振りかえる)」

      モ「(余裕の笑み)最初は不意打ち、二度目は様子見でやられたけれども今回は違うわ。あんたを倒して宝を取り戻すためにこうやって頼もしい仲間達を集めてきたのよ、ごらんなさい!」

      ライト全開。上手側、モモの精背後で全員土下座(次郎、猿谷、雉村、犬山)。

      次「ど、どうだ!鬼嶋さんの機嫌は!?」

      猿「頭が床にこすりつけられててわかりませーん!」

      次「犬山ー!」

      犬「はい隊長!」

      次「正々堂々と、こっそり、ちらっと見て見ろー!」

      犬「(恐る恐る鬼嶋を見てすぐ土下座に)見ましたー!」

      次「どうだー!ご機嫌麗しいかー!?」

      犬「なんていうか失笑でーす!」

      雉「隊長ー!効果がみられませーん!」

      次「くそー!こんなに真剣に命乞いなのにしかたない!作戦Bに移るぞ!」

      猿・雉・犬「らじゃー!」

      全員うつぶせに大の字。

      次「どうだー!鬼嶋さんの様子はー!ご機嫌はとれたかー!?」

      犬「見えませーーん!」

      雉「お花畑の向こうにひいじいちゃんが見えます!」

      次「帰ってこーーい!」

      モモの精。次郎の頭を踏む。

      モ「ねぇ、なに?コレなに?」

      次「ばかばか!作戦だっつーの」

      モ「なんの?ねぇ、なんの?」

      次「こうやって油断を誘ったところで一気に数で責め立てる。名付けてー!負け犬の大逆襲!」

      モ「さすがモモシロウ様!卑屈具合が素敵」

      次「そんなに誉めるなよ。あと足をどかしてくれよ」

      鬼嶋、下手側を向いて頭を掻く。

      犬「隊長!標的の興味がソレました!」

      次「よし、今だ行くぞ!」

      全員素早く立ち上がる。鬼嶋素早く銃をその次郎達側に向ける。モモの精以外全員下手にダッシュで退場。モモの精後を追い、次郎と犬山を引きずり再登場。

      モ「あんた達やる気アルの!?」

      次・犬「ないです!(元気に)」

      モ「なんて捻りのない返事をするの!」

      犬「ないどすえ?」

      モ「言い方の問題じゃない!そう、あなた達がそういうつもりならこちらにもそれなりの対応というものがあるわ」

      次「いったいどうする気なんだ」

      モ「ふふふ、(ビシッとポーズを決める)困る!」

      沈黙。鬼嶋発砲。三人あわあわする。

      鬼「そろそろ、死ぬか」

      次「困ります」

      犬「あー私もー」

      鬼、二回発砲。三人。一回目かわすポーズ。二回目、格好つけたポーズ

      次「待て!話し合えばわかる!」

      鬼「まずそのポーズがわからん!」

      モ「今だ!隙アリ!」

      雉「(声だけ)待ちなさい!」

      上手から雉村登場。

      雉「逃げながら相談したわ」

      次「猿谷と?」

      雉「通りすがりの落ち武者の人と」

      全員うつむく。

      雉「それで私色々考えたの。そして良い案が浮かんだの」

      モ「まあ。さすが雉様!いったどんな案が?」

      雉「私は鬼側につく(ビシッと鬼嶋を差しながら)」

      次「ああ!」

      犬「なるほどー!」

      モ「待て、待って(片手を出して)、お願い待って(土下座)、この通り待って!(土下寝)頼むから待って(出来れば三角倒立)」

      雉「3,2,1。はい待った。今日から私。あなたの味方よ。よろしく(鬼の手を掴んで握手)」

      鬼「お、おう。」

      雉「忠誠の証としてコレをさしあげます(アルトリコーダーを渡す)」

      鬼「いらないけど…」

      雉「そのかわりに銃をちょっと貸していただけますか」

      鬼「それはできない…」

      雉「(鬼嶋のセリフの途中で)ああ、コレが○○○(銃の名前)。このシルエット、重量感。たまらないわ。ねえ、あなたもそう思うでしょう?(誰もいない方向に向かって)」

      鬼「誰と話してるんだ!?」

      雉「(銃を鬼嶋に向ける)さあ?馬鹿ね。」

      鬼「な。なにぃ!?」

      雉村発砲。下手側から武器を構えた猿谷登場。そのまま倒れる。

      雉「鬼嶋様に逆らおうなんて馬鹿な輩…ああ、発砲の反動もイイ(うっとりと銃に頬ずり)」

      モ「裏切り者で変態か…」

      次「猿谷ーーーーー!」

      猿「(音声で)はーい!こちらあっちの世界の猿谷でーす。スタジオのほうに音声とどいてますかー?」

      次「どっからだーー!?」

      猿「はーい。こちらですねぇ、今日はにぎやかでしてーどうやらお祭りのようです」

      次「ええ!?どんな様子なんですか!?」

      猿「はーい。基本的には鬼が人をタコ殴りにしておりまーす。なんていうか血祭りです」

      次「そっちの祭りかよ!」

      猿「あれ?音声のほう遠い様です。次郎さーん次郎さーん(声フェイドアウト」

      次「猿谷ー!」

      雉「ふふふ、死者の声が聞こえた様ね。これであなたも仲間。さあ、いらっしゃい」

      鬼「いや。こられても困るんですけど」

      雉「なんだと?」

      次郎上手へ退場。

      鬼「なんでもありません。すいません。犬とお呼びください」

      雉「犬はアイツ(犬山を差しながら)だけで十分だ」

      犬「ワン」

      次「(声だけ)動くな!」

      雉「なんだと?」

      次「(上手からキビダンゴを人質にとりながら登場)こいつがどうなってもいいのか!?」

      雉「く、な。なんて卑怯な!」

      鬼「ヒーロー性のカケラもない!」

      次「くくくく、馬鹿め。正義で勝利が飾れると思ったら大間違いだ!」

      雉「愛と勇気だけで戦ってるヒーローもいるのよ!」

      次「ああ!愛ってなんだ(頭を抱えながら」

      鬼「そこはショック受けどころなのか!」

      次「しかしイースト菌と小豆の塊と一緒だと思うなよ!伊達に四浪してるわけじゃねえ」

      モ「モモシロウ様、ちっとも自慢になってないわ!」

      次「うるさい!とにかく、こいつの命が惜しくば今すぐ銃を俺に渡せ!」

      雉「ああ、キビダンゴ様!(キビダンゴに手を伸ばしながら)」

      ダ「美味しく食べてー!(雉村に手を伸ばしながら)」

      鬼嶋ふところから銃を取り出し後ろから雉村を撃つ。雉村倒れる。キビダンゴ駆け寄ろうとしたところを次郎に腕を捕まれ上手側に投げられモモの精。それを待ちかまえてラリアット。(この間スローモーションパントマイム。壮大な曲)キビダンゴダウン。

      鬼「余興はここまでだ」

      次「まったくだ」

      モ「まったくだ」

      犬「よくも、雉村さんを!」

      次郎、前へ。全体の照明やや落とし気味。ピンスポで次郎。

      次「裏切り者といえども犬山にとっては親友の雉村。その雉村を撃たれ、普段は死んでも気付かないほど間の抜けている犬山もここぞとばかりに覚醒し、隠された力が目覚めたのである(犬山に視線を送る)」

      二・三歩鬼嶋に走り寄る犬山。鬼嶋素早く銃を向ける。犬山一歩後ずさり。

      犬「(仮面ライダーの変身のポーズをとってから)そう、これはびっくりしているときのポーズ。私は、今、びっくりしている?(モモの精に)」

      モ「知らないよ!」

      鬼嶋、犬山を撃つ。犬山倒れる。

      鬼「まあ、結局は最初のふたりが残ったわけだ。さあ、どうする?」

      ライト赤一色暗め。次郎にピンスポ

      次「死屍累々と仲間達が横たわる姿!結局は俺たちは何もせずに終わってしまうのか!悪はいつの世にもはびこるモノ、しかし、このまま俺たちは負けてしまうわけにはいかなかった。なぜなら、それは」

      暗転


      次「五浪は嫌なんだー!(悲痛に)」



      (またここでショートコントをいくつか。)



      照明。舞台の下手側に鬼嶋。上手側に次郎とモモの精。

      鬼「まあ、結局は最初のふたりが残ったわけだ。さあ、どうする?」

      次「ああ!すっかり死体が片づけられている!」

      モ「なんて便利な舞台技術!」

      鬼「うるせえ」

      鬼嶋発砲、ふたりあたふたする。

      次「まあまあ、落ち着いて、わたくし、鬼嶋さんのために美味しいバーベキューをご用意させていただきました!長い物には巻かれるのがわたくしの主義でして!へい、シェフ」

      キビダンゴ登場、豪華な食事を台車かなにかに乗せてセッティング。

      鬼「(鼻で笑い)賢い選択が出来るヤツじゃねえか。毒なんて入ってないだろうな」

      次「めっそうもございません!この通り美味しいお肉でございます!(凄い勢いで食いながら)」

      鬼「ようし、じゃあ食ってやるか。(一口)ほう、なかなかイケるじゃねぇか」

      (次郎が口に頬張りすぎてまともにしゃべれないときは鬼嶋「何言ってるかわからんが、食えるようだなぁ」)

      次「ところで、鬼嶋さん。実家は牧場主だそうですね」

      鬼「よく知ってるな」

      次「そりゃもう尊敬すべき鬼嶋さんのことだったらなんでも調べますよー」

      鬼「んで、それがどうした(もう一口)」

      次「いやぁ、ね。鬼嶋さんが可愛がってた牛がいたって聞いたもんで」

      鬼「(食べるのをやめて、肉をじっと見ながら)ああ、アイリーンって俺が名前を付けたんだが・・・ま、まさか・・・」

      次「そのまさかだ、お前が今食ってるのがアイリーンさ!」

      鬼「そ、そんなアイリーン!こんな変わり果てた姿に!」

      次「はははははは!ウソだー!」

      間空け。

      鬼「ふざけやがって!そんなことで俺が動揺するとでも思ってたのか(銃を取り出し)」

      次「その後ろの肉がアイリーンだ!」

      鬼「アイリーーーーーーン!!!(崩れ落ちる)」

      舞台前側にモモの精立つ。

      モ「でたー!これぞ、モモシロウの必殺技。強い子に直接当たっても勝てない場合の陰湿な間接いじめ!まさに精神攻撃、スピリチュアルアタック!」

      モモの精そのまま鬼嶋の落とした銃を奪い取る。

      鬼「しまった!(立ち上がり懐からもうひとつ銃を取り出し構える)」

      モ「まだ銃を持ってたなんて!」

      発砲音。しばしの間空け。モモの精、銃を落とし片膝をつく。鬼嶋にやりと笑って次郎に標準を合わせる。次郎土下座、からぺたんとうつぶせに大の字。その後揺れるように鬼嶋倒れる。

      モ「勝った・・・倒しました!鬼を倒しましたよ!モモシロウ様!」

      次「や、やった!死なずにすんだ!」

      猿谷、雉村、犬山、上手から「おめでとー!」と口々に登場

      次「うわーー!お前らそろいもそろって死んだんじゃなかったんか!」

      犬「まあまあ、細かいことは良いじゃないですか」

      雉「そうねぇアレがなかったら危なかったわ」

      猿「ほんとにねぇ」

      次「アレってなんだー!」

      四人のやりとり間にモモの精、鬼嶋から宝を取り出す。

      モ「そんなことよりモモシロウ様。コレでコレを売った金を裏に回して大学に合格出来ますよ!」

      次「裏金かよ!」

      モ「冗談ですよ。さあ、それではおとぎの国の魔法をかけます。目を閉じて」

      次郎。少し視線を落とし悩むような表情。

      モ「どうしたんです、モモシロウ様。さあ、目を閉じて」

      次「いや、いいんだ」

      モ「え?」

      次「何度も死にそうになりながら俺は自分の今までの生き方を考えてたんだ。いつもいつも楽なほうにいくことばかり考えて、真剣味がいつもいつも足りなかった」

      猿「ホントにな」

      次「うるさい。だけれども、必死になれば。絶対無理だと思っていたそのスジのヒトだって倒すことも出来た。俺は、自分の可能性を信じてみたくなったんだ。」

      モ「モモシロウ様・・・」

      次「嬉しくも楽しくもなかったけど、今は感謝している。本当にありがとう。俺、自分で頑張って大学を受験してみるよ」

      勝利のファンファーレ的な音楽。モモシロウに駆け寄ろうとする一同。後ろ(下手)から警官登場。一同舞台の四方に散る。

      警「こちらで銃撃戦をしているという通報を受けた!うぉお!?コレは死体!ですか?」

      鬼「いかにも死体です」

      警「なんてことだ!いったい誰がやったんだ!銃刀法違反、および殺人の容疑で逮捕する!」

      猿「あいつがやりました(モモの精を差して)」

      犬「私はあんなにやめろって言ったのに!」

      雉「(鬼嶋の前でうなだれながら)ウワーン鬼嶋さーーん!」

      警「オマエか!怪しさ満点の格好しやがって!逮捕だー!(モモの精に手錠をかけて下手側に引きずり去る)」

      モ「いやーちがうのー待ってー」

      次「待ってくれ!(芝居めいた真面目っぽい声)」

      警察止まり、桃の精と一緒に次郎のほうを振りかえる。

      警「…なんだ」

      次「俺、大学は自分で頑張るけど。ひとつだけ欲しいモノがあったんだ」

      モ「今更なんなのよ」

      次「(うつむき気味)俺が、俺が本当に欲しかったのは、それは、(顔を上げる)キミだったんだ!」

      モ「モモシロウ様…」

      ゆっくり二・三歩近づく次郎とモモの精。そこからふたり走り次郎、モモの精をスルーして警察の手をとって「つき合ってください!」。
      モモの精そのまま背後スライディングか倒れるか。


      (ウェディングのテーマの出だしだけ流して)暗転


      エンディング音楽。
      次「(声だけ)こうして俺たちは無事生きて帰ることに成功した。それぞれが、何か新しい自分の一部を発見しながら。
      俺はとにかく勉強した。来る日も来る日も。そして驚いた。やる気になってやってみればまるで自分が乾いたスポンジにでもなったようにどんどん知識を吸収していく。俺はなんでこんな簡単なことを勉強してこなかったのだろう、四年という月日をどれだけ無駄にしてきたのだろう。後悔はやはり付きまとう。
      けれども、今こうやってひとつのカタチとして結果が見えてきていることに満足していた。後悔をすることよりも、目に見える自分の発展。ソレこそに意味というものを見いだすことが出来るようになった。」

      照明中央照らし。
      舞台奥に合格通知の書かれた掲示板。
      その前で後ろ姿の猿谷と次郎。しばらく眺めたあと。

      猿「(嬉しそうに次郎のほうを見て)とうとうやったなぁ・・・」

      次「ああ、やった(後ろを向いたまま)」

      猿「やったな、ゴロウ。」

      次「やっちまったーーーーーー(ひざまずき)」

      暗転


      次「(声だけ)努力というやつはいつも実るわけではないのだ」

      軽い感じのエンディング曲
      出来れば。
      スクリーンを使って猿谷、雉村、犬山がマトリクス的に弾丸をかわしている絵をバックに表示しながら。
      あと独房にいるモモの精とか。
      その後練習風景をスクリーンで出すのもアリか。

      一回スクリーンごと暗転。音楽途中キリのいいところでバシっと切る。

      舞台中央のみ照明。
      思いっきり拳が顔面に食い込んでいる次郎と食い込ませている雉村。

      次「本当にー!これでー!頭が良くなるんですかー!」

      雉「はい、もちろんです。この角度でこの衝撃を与えることによって脳が活性化し、理解力、応用力が増すことは科学的根拠に基づき証明されています!」

      次「かれこれー!これで20発目なのですがー!まだですかー!」

      雉「はい、もちろんウソです!」

      沈黙。雉村、そっと手を離し後退。次郎最初首は殴られた方向のまま、ゆっくり雉村のほうに顔を向け走る、雉村も走って逃げる。

      暗転

      エンディング曲続き、ボリュームをあげて。

      スクリーン。
      『努力はいつも報われるとは限らない』

      『けれど』

      『成功は努力をするもののところに行きたがるものなのだと思う』


      〜幕〜

      天寺英太郎 * 台本30分もの * 05:23 * comments(0) * trackbacks(0) * - -
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